家政婦として働く「私」は、ある春の日、年老いた元大学教師の家に派遣される。彼は優秀な数学者であったが、17年前に交通事故に遭い、それ以来、80分しか記憶を維持することができなくなったという。数字にしか興味を示さない彼とのコミュニケーションは、困難をきわめるものだった。しかし「私」の10歳になる息子との出会いをきっかけに、そのぎこちない関係に変化が訪れる。彼は、息子を笑顔で抱きしめると「ルート」と名づけ、「私」たちもいつしか彼を「博士」と呼ぶようになる。
しばらく本棚で眠っていた本を一冊手にとって、
読み始めたら、そのまま読み終えてしまいました。
ランキングに入っていた、人気の高い小説です。
とにかく、博士が80分間しか記憶を保持できない、という事実が切なかったです。
朝、目を覚まして、まず一番に、自分の持つ脳の病を認識しなければならない。
着替える背広の一番目に付く胸ポケットには、『僕の記憶は80分しかもたない』のメモ。
いくら楽しいコトも、悲しいコトも、80分経ってしまえば、ゼロ。
自分が人に感謝されるコトは苦手としているのに、
自分が人に感謝するコトは、いつもその人の労力以上に感謝をする。
なんだか温かい気持ちに包まれました。
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